おまけのどんぐりLIFE

心をまあるくする。ゼロからスタートしてみるブログ

『子供を障害児にするなんて』と言われた幼稚園に通いたいと思いますか?

こんにちは、かちゃどんぐりです。

息子は、幼稚園入園前に療育手帳を取得しました。
私の住む地域では、療育手帳取得の際に4段階で判定されます。

A1(最重度)
A2(重度)
B1(中度)
B2(軽度)

息子は『B2』の判定。

これは、発達障害に理解の薄かった幼稚園に対して、少しでも歩み寄ってもらえる材料のひとつになればという思いがあっての取得でした。けれど幼稚園の対応は、息子が在籍した3年間ずっと冷ややかなものだったのです。

義務教育ではない幼稚園教育…
発達障害児に対して手厚い対応をしてくれる幼稚園ばかりではありませんよね。しかし、家庭環境によっては我が家のように手厚い幼稚園や療育園などをを探している余裕がない方がいるのもまた現実。

そこで、今回は発達障害に理解が薄い幼稚園を選んで良かったと思えた経験について紹介させてください。

家から近いことが最優先

我が家は、私の実家も夫の実家も車で高速を乗り継ぎ2時間かかる距離にあります。娘も息子も赤ちゃんだった頃には、2人を連れてよく実家に帰り子育てを助けてもらっていましたが、娘が幼稚園に入園してからはなかなか帰る時間もとれなくなりました。たとえ子供の風邪をもらってしまっても、誰のサポートもうけられません。そんなとき、夫が役に立てば良いのですが、8時に出勤して23時前後に帰ってくる夫に何が頼めるでしょう。我が家はまるで母子家庭でした。

娘が幼稚園に入園したのは東日本大震災の翌年。自然災害の脅威を目の当たりにして、子供2人の命を私一人で守るには家から近い幼稚園にするのが最優先の決め手でした。そんな理由から選んだ幼稚園は、園の雰囲気や環境は抜群に良く娘にはぴったりの幼稚園。

娘の入園から2年後、息子も入園させる予定で心は決まっていました。なぜなら、息子の発達の遅れや多動についての相談を聞いてくれる先生や、言葉の遅れがあっても気にしないで入園させてと言ってくれる副園長先生など、発達障害児でも受け入れてくれる環境は整っている印象があったからです。


入園願書提出で感じた違和感

入園願書は、園長先生との面談によって受理されるシステムでした。なので息子も、娘の入園時同様に園長先生の面談を受けるために願書を持って予約した時間に面談室へ通されたのですが、園長先生の顔に笑顔がなくピリッとした雰囲気に一抹の不安を感じつつ着席した私。息子は、ウロチョロして部屋から脱走する危険があったので私の膝に座らせました。

開口一番驚いたのは「息子さんはお返事ができないですね、私と一度も目が合いませんけど」という園長先生のひとこと。事前に発達障害であることや週3回の療育を受けていることなどは他の先生を通じて伝えてありました。さらに願書の中には詳しく息子の障害について記載しています。なにより、副園長先生から気にせず入園しても良いとのお墨付きをもらえていたはずです。

園長先生との会話中、驚きと焦りと不安と少しの怒りといった込み上げてくる様々な感情を抑えるのにかなりの精神集中を強いられたような気がしました。そして園長先生は「まあ、願書を出したいようなら受け取っておきます」と、部屋を出て行きました。

普通の親なら、「こんな幼稚園に息子を預けられない」と願書を返却してもらって別の幼稚園を選ぶのかもしれませんね。もしくは、障害があるから幼稚園には行かせないという選択肢があったのかもしれません。でも、我が家の子育て状況では姉弟で別の幼稚園に通わせられるほどの気力も体力も私にはありませんでした。そして、発達がゆっくりだからこそ多くの子供たちに囲まれて成長させてあげたいと思っていました。(親のエゴなのかもしれませんが…)

発達障害児繋がりでできたママ友たちからは、手厚い幼稚園の情報や療育中心の園、保育園の優しい対応などを教えてもらってはいましたが、どこも家から距離があったり障害児枠の定員数が空いていなかったりして、それ以上の選択肢はなかったのです。

願書提出後の変化

息子を馬鹿にされたような気持ちの願書提出から数日後、幼稚園から再度面談の連絡が入りました。今度は副園長先生との面談で、願書に記載した発達障害について説明して欲しいとのこと。入園取り消しと言われるかもしれない覚悟を決めて、発達障害を理解してもらうべき伝えたのは以下の通りです。

  • 発達障害とは何か
  • 自閉症スペクトラムの特性
  • 普通の自閉症や多動、注意欠如との違い
  • 息子がスムーズに過ごせるための対応方法
  • 加配をつけてもらえるよう手配してほしい(療育手帳を持っているか障害がある児童には、先生を余計に配置させるという国の制度)

入園前からよく相談に乗ってもらっていた副園長先生なので、てっきり発達障害についての知識は豊富な方だと思っていたのですが、全くの勘違いでした。これらの話をしても、常に疑問だらけのような表情と曖昧な返答ばかりで話が前に進みません。

しかし、そのような反応は私の想定内!誰もが発達障害について理解が深く、私や息子に親身になってくれるとは到底思ってもいませんでしたから。だからこそ入園前に療育手帳を取得しておいたのです!!

息子が入園してからも、副園長先生との個別面談は数回実施してもらいました。クラスメイトとのトラブルが何度も発生し、困り果て私は「早く加配の先生をお願いします」と何度も頭を下げて懇願し続けましたが、願いは叶いません。最終的に幼稚園の意見として提示されたものはこのような内容でした。

  • 加配なんてつけない(加配の先生の指示しか聞けない子になってしまうから)
  • 発達が遅い個性として指導します(なぜ親が障害児として育ててしまうのか疑問だから)
  • 療育手帳を取得してしまったのならコピーの提出をするように
  • 園長の意見は、そんなに要望があるのなら保育園への転園をどうぞ(副園長は、これは自分の意見ではないと強調していた)

ハッキリと、私の考えや発達障害児の受け入れに対して拒否の姿勢を示されてしまい、愕然としたのは確かです。けれどすぐに転園できる状況でもなかったので様子を見ながら通園と続けることに。我が家の場合、理解してほしくて取得した療育手帳は役に立ちませんでした。

トラブル連発と息子の変化

入園当初、発語のなかった息子はよく同級生を噛んでしまうトラブルを起こしました。幼稚園の対応のほとんどが「見ていなかったので状況は詳しく分かりません」というもの。トラブルの原因がどこにあったのかは追求せず、噛みついた息子に全責任を押し付けるのです。それでもひたすら謝って耐えました。心がすさんで、幼稚園の先生やママ友がみんな敵に見えたこともありました。

ですが、年少から年中に上がるタイミングで息子が急に2語文3語文を話すようになったのです。自分の思いを言葉にしないと誰にも分ってもらえない環境だったからなのか、ただ普通の成長タイミングだったのか定かではないけれど、先生の質問に答えたり話しかけたりするようになっていました。

さらに、年中になると同級生と追いかけっこくらいなら楽しめるようになったのです。滑り台やブランコ、三輪車など、遊具の正しい遊び方を自然と覚えて、順番を守って遊べていました。危ない遊び方をしている子には注意するようなこともあると、担任の先生から教えてもらったときには心が躍るくらい嬉しかったです。

年長になると、給食当番や日直といった簡単な仕事もこなせるようになりました。とはいえ、発達障害が治ったわけではないので、何もかもが他の子と同じようにできているわけではありません。会話のキャッチボールが苦手で、我慢が苦手、すぐに癇癪を起してしまうような特性は変わらずです。

ただ、園長先生副園長先生を含めたどの先生も、息子を特別扱いせず発達障害児としての補助をしてくれない代わりに、できないことは無理強いしないでくれて、教室を脱走しても羽交い絞めにせず優しく抱きかかえてくれました。ときには一人で教室の外で落ち着くまで過ごさせてくれていたようです。

小学校に入学してから分かったこと

幼稚園の対応に納得がいかないことはありました。在園途中で何度か転園しようか悩んだこともありました。しかし、小学校に入学してから支援学級の先生に言われた言葉によって、私の選択が正しかったと思うことができたのです。

  • 息子さんはやりたいことややりたくないことをハッキリ言葉で表現できています
  • どの先生が話しかけても楽しそうにやりとりしてくれています
  • 授業を受ける前の準備や下校の準備など、周りの子が始めると自らすすんでやっています
  • 息子さんと廊下を歩いていると、驚くくらい色んな子から声を掛けられます。こんなにも声を掛けられる生徒は初めてです、幼稚園でとても良い関わり合いをしてきたのでしょうね


これらは、もしかしたら私が幼稚園にお願いした発達障害児としての特別な対応のみを受けていたら、聞くことのなかった台詞かもしれないなと思えるのです。発達障害児や発達障害グレー児が増えてきている昨今、発達障害への関心が薄いままの幼稚園は多くの課題が残るでしょう。しかし、発達障害も個性としてとらえて集団生活を学ばせてもらえた息子は、確実にしっかり者へと成長してくれました。


最初の印象は決して良くなかった幼稚園でしたが、「子供の障害も個性としてみれば楽しく過ごせる」というポジティブな感情を持っても良いんだと教えてもらったような気がします。今でも、息子の育て方に悩んだときには「個性かな、性格かな、まずは見守ってみよう」と、落ち込みすぎる前に心を切り替えられるようになりました。

発達障害といっても、自閉症や自閉症スペクトラム、注意欠如や多動、学習障害など、どの子にどの対応をとるべきか、という正解はありません。幼稚園選びはどの親でも悩むところです、何度も見学へ行き、納得いくまで話し合える幼稚園を探してみると良いかもしれませんね。




最後まで読んでいただきありがとうございました。
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